秋山博康 刑事バカ一代

船越英一郎×リーゼント刑事「サイバー犯罪捜査でも刑事の個性や人間力が大事」

数多の作品で刑事役を演じてきた俳優・船越英一郎氏

数多の作品で刑事役を演じてきた俳優・船越英一郎氏

 徳島県警を退職後は犯罪コメンテーターとして活躍する「リーゼント刑事」こと秋山博康氏の連載「刑事バカ一代」の特別編。秋山氏の新刊『リーゼント刑事』発売に合わせて、“サスペンスドラマの帝王”の異名を取り、数多の作品で刑事役を演じてきた俳優・船越英一郎氏との異色対談が実現した──。【全3回の第3回。第1回から読む

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秋山:これから先は確実にサイバー犯罪が事件の主流になっていきます。

船越:だからこそ刑事には、サイバーを裏で操る人間と対峙する力が求められるのではないでしょうか。ハイテクを駆使した捜査力を身につけながら、生身の人間と向き合った時の心の機微をどう読み取るかを養わないといけない。そのためにも刑事の個性や人間力が大事になると思います。

秋山:ワシもそう思います。昔は個性豊かな刑事が多かったけど、自分が管理職になった頃にはキャベツ畑のキャベツのように個性が少なくなりました。実は2000年代に警察の不祥事が多発し、警察庁を中心に細かな指導が増加して、上層部が「夜8時以降は飲みに行くな」といった通達を出すようになったんです。ワシは刑事課長の時、「こんなルール守らんでええから、みんな飲みに行け~!」と部下にハッパをかけて、エライ人から「何ちゅう指導しとんねん」と怒られました。でも刑事には協力者と酒を飲んで情報を得る技術も必要です。

船越:最近は役者の世界でも同じようなことが求められます。個性豊かな刑事が排除されると結果的に警察の捜査能力が鈍り、市民生活の安全が脅かされそうで不安です。

秋山:そうならないためにも現場の刑事が「刑事魂」を受け継いでいくことが必要なんやろうと思います。

船越:日本の警察は優秀で検挙率が世界一だと聞きますが、その裏には組織力だけでなく、全国で頑張る捜査員ひとりひとりの個性があったはずです。秋山さんというレジェンドを前にすると、つくづくそう感じます。

秋山:そう言ってもらえると、メチャクチャうれしいです。実はこの前、テレビの刑事ドラマにちょい役で出演したんです。この先、サスペンスドラマで船越さんと共演できたら最高です。ただしワシは人相の悪い犯人役かもしれんけど……。

船越:そんな犯人、畏れ多くてとても逮捕できません(笑)。でも本当にいつか刑事ドラマで共演できるといいですね。

(了。第1回から読む)

【プロフィール】
船越英一郎(ふなこし・えいいちろう)/1960年7月、神奈川県出身。1982年俳優デビュー。以来、ドラマ・映画で活躍。「サスペンスドラマの帝王」の異名を持つ。『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)『十津川警部の事件簿』(テレビ東京系)など、数多くのドラマで刑事役を熱演。

秋山博康(あきやま・ひろやす)/1960年7月、徳島県生まれ。1979年、徳島県警察採用。交番勤務、機動隊を経て刑事畑を歩む。県警本部長賞、警視総監賞ほか受賞多数。退職後は犯罪コメンテーターとして活動。YouTube「リーゼント刑事・秋山博康チャンネル」が好評。初の著書『リーゼント刑事 42年間の警察人生全記録』(小学館新書)が3月31日に発売された。

※週刊ポスト2022年4月22日号


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