円安が加速している。3月28日に1ドル=125円台をつけた後、4月13日には一時1ドル=126円台を突破し、2002年以来、約20年ぶりの円安水準となっている。3月以降、円の下落幅は11円を超えた。はたして今後のドル円相場はどのように動くのか。それを読み解くひとつの鍵となるのが、政府・日銀による「為替介入の有無」だ。為替市場に詳しいグローバルリンクアドバイザーズの石井千晶氏が、解説する。
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3月28日に1ドル=125円10銭をつけたドル円相場は、年度末の大きな売り買いが飛び交うなか、乱高下の末に一時121円28銭まで振れたが、4月に入って122円台を回復すると、その後は膠着状態が続き、4月11日には再び125円台に乗せ、13日には一時126円台を突破した。結論からいえば、この円安基調のトレンドはまだ継続すると見ている。
円安の要因には、ロシアのウクライナ侵攻によって原油価格が上昇し、日本の貿易収支が悪化する見通しであることや、米国の利上げに対して日本は低金利政策を維持するため、日米金利差の拡大によって金利の高いドルを買って円を売る動きが強まってきたことなどがある。しかし、ここにきて“悪い円安”を懸念する政治的な圧力も強く、財務相などからは円安を懸念するコメントや日銀の介入の可能性なども話題として取り上げられるようになってきている。
そもそも1ドル=125円は「黒田ライン」と呼ばれ、日銀の黒田東彦総裁が「それ以上の円安はありそうにない」と牽制した抵抗線と目されてきた。ただ私は、この「黒田ライン」には大して意味はないと考える。なぜなら、「黒田ライン」と呼ばれる以前から、ドル円相場では、125円近辺はいつでも大きなレジスタンスライン(抵抗線)であり、反対に100円は大きなサポートライン(支持線)だったからだ。
日銀の黒田総裁は4月13日、「強力な金融緩和を粘り強く続ける」と発言し、為替介入しないことを示唆したため、その日のドル円相場は126円台をつけた。だが、この先も介入しないかどうかは不透明な状況だ。実際、過去の日銀の介入がどれだけの効果をもたらしたのか、振り返ってみよう。