お金を使う時、知らず知らずのうちに人にはさまざまな“心理”が働いているという。例えばネットショッピングやキャッシュレス決済。便利でポイントやクーポンなどのお得なキャンペーンも豊富なため、ついついネットで散財してしまう人もいるだろう。ここにはどんな心理があるのだろうか。貯金がまったくできない“オバ記者”こと女性セブンの名物ライター・野原広子さん(65才)が、行動経済学に詳しいマーケティング&ブランディングディレクターの橋本之克さんに聞いた。【全4回の第1回】
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オバ記者:この3月、母が93才の天寿を全うして、実家のある茨城で葬儀を行ったんですけど……お葬式ってホントお金がかかりますね。祭壇や生花なんて葬儀屋さんから「こっちの方がいい」とすすめられるとつい、ね。喪服も新調しようとネットで探したら、まぁ、出てくる出てくる。その数、2万件以上。途方に暮れたわよ。
橋本さん:選択肢がありすぎると迷って決められない、というのはありますよね。行動経済学では「決定麻痺」というんですけど、サイズやデザインが膨大にあると、ワクワクするどころか逆に選べなくなる。
オバ記者:さんざん迷ってから、母ちゃんとの最期の別れだからと、私にしたら張り込んで、2万円の喪服に決めました。
橋本さん:なるほど。
オバ記者:すぐにジャケットとスカートが届いたけど、モデルさんが着ていたブラウスが入ってない。送り忘れならクレームを入れようと購入サイトを見直してみたら、ちっちゃな字で「※ブラウスは別売りです」って──あれに気づく人、どれくらいいるんだろう。
橋本さん:“ネットショッピングあるある”ですね。
オバ記者:当日は手持ちのブラウスでなんとかしましたよ。そうそう、お葬式といえば、お金持ちの友人の話なんですけど、家族の葬儀でお香典が2000万円くらい集まったんですって。そしたらね、お札の束って、ものすごく臭いんですって。
橋本さん:相当いろいろな人の手を経ていますからね。
オバ記者:まぁ、うらやましい限りです。この春はあちこちで値上げがあるから、財布のひもを締めねばと思うんですけど、お金って知らないうちに出て行っちゃうんですよね。
橋本さん:知らずに出て行く、というのは問題ですね。その原因を探してみましょうか──。