ロシアのウクライナ侵攻による物価上昇で「値上げの嵐」が吹き荒れているが、現在の値上げはまだ序の口。ウクライナ戦争の本格的な余波が直撃するのは6月以降だともいわれている。家庭の負担増は年間4万円以上にのぼるという試算もあるなか、この状況にどう立ち向かえばいいか。経済の専門家に聞いた。
消費者経済総研チーフ・コンサルタントの松田優幸さんが、家計負担増への抗策として挙げるのが「値上げ前の買いだめ」だ。
「今回の値上げで、買いだめしそこなった人も諦める必要はありません。現段階でまだ値上げされていない商品も多いので、よく使う食料品や日用品の値上げ動向をチェックして1年分くらいまとめ買いしておけば、値上げショックを抑えられます」
戦争余波が迫るが、まだ私たちには抗える術があるのだ。
「まず、買いだめの前にルールが必要です」
そう指摘するのは、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんだ。
「基本的に買いだめしてよいのは、定番品で、腐らず虫がつかず、かさばらず、賞味期限が長く、嗜好品ではないもの。災害時に備えた備蓄や非常食になるものがおすすめです。事前にいま持っている商品の残量も確認しておきましょう」(丸山さん)
実際に「買いだめリスト」に入れるべきものは何か。まず、生活に欠かせない食料品をまとめ買いしておきたい。注目すべきは「小麦」に関連するものだ。原油価格の高騰や物流コストの上昇などを受け、政府は輸入した小麦を製粉会社などに売り渡す価格を4月から17%引き上げた。経済ジャーナリストの荻原博子さんは、こう話す。
「売り渡し価格がスーパーなどの売り値に反映されるのは6~7月頃です。なので、うどんやパスタなどの乾麺やカップラーメンといった賞味期限の長い食べ物は、いまのうちにまとめて買っておくべきです」
実際、「日清カップヌードル」や「明星チャルメラ」などインスタントラーメンは、6月1日の出荷分から5~12%の値上げが確定している。ロシアとウクライナの小麦輸出は世界全体の約3割を占めるが、4月の売り渡し価格改定にはウクライナ戦争の影響はまだ反映されていない。今後両国からの供給がストップしたら、世界的な小麦価格の大幅な上昇は待ったなしだ。