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「20年ぶり円安」で日銀はどう動く? 過去の例からわかる「為替介入」の難しさ

 1997年当時、アメリカのルービン財務長官は「強いドルは国益にかなう」とずっと唱えていた。そして現在も、強いインフレ懸念があるアメリカにとっては、ドル高は「国益にかなう」ことになっている。そうなると、日本がドル安円高を望んでも、今後10円や20円といった円安に振れたとして、米国が介入する公算は低いと見ている。

 さらに、米国は為替操作を嫌う国であり、日本の円買い介入を好ましいとは思わないだろう。通貨介入は自国通貨だけでなく、相手国通貨にも影響を与える。しかも、円買い介入の場合、保有している外貨であるドルを売らなければならないため、米国にとってはインフレを助長するドル安につながる。そうなると介入は容認できない。円売り介入よりさらに難しくなるわけだ。

 こうしたことを踏まえると、口先介入やレートチェックなどの牽制はあるとしても、実際の為替介入は130円台に乗せるまでは難しいのではないだろうか。介入の期待感があると、市場はUSD/JPYを買いづらく、125円をしっかり上抜けるとさらに上昇傾向が強くとなると見られる。結果的には、「介入催促相場」と言って、実際の円買い介入が開始されるまでUSD/JPYは上昇し、円安が進むことになるだろう。

 ドル円相場を長期的に見ると、1992年からの30年間で7割以上もの期間、100~125円のレンジで推移している。100円を最後に回復した2013年12月以来、100~125円の連続滞在日数は実に3000日以上に及び、いままでで最長の記録となっている。そろそろこれを抜け出して、一段上のレンジに移行する時期と考えていくと、1ドル=130円台に向けた円安の動きも現実味を帯びてくるのではないか。

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