「『ミチコさん、本当にありがとう!』と、Aさんは喜んでいましたが、次第にチャットルームに出入りしなくなってしまいました。電子マネーを渡す際に教えてもらったメールアドレスに様子うかがいの連絡も入れましたが音沙汰無し。それ以来、チャットルームを利用するのが怖いです」
「親しい関係だと思っていただけに、かなりショックだった」と語るミチコさんだったが、この件は家族や友人には打ち明けられないという。
「こんな話をしたら、『そんなの騙されてるって、普通に考えて分かるでしょ?』って、面と向かって笑われるに違いありません。これ以上傷つきたくないんです。ネットで傷ついた心は、ネットで癒してもらうしかありません」
Aさんとの件はネット仲間に励ましてもらった甲斐もあり、既に癒えたそうだ。「今後は金銭的な援助で仲間を応援するのではなく、気持ちに寄り添う形をとっていきたい」と、ミチコさんは話していた。
匿名性の高いSNSだからこそ、日常生活では打ち明けられない事を気軽に話せるメリットもある。その一方、利用者の中には逆手にとって悪用するケースもあるようだ。そうしたトラブルに遭遇しても、ミチコさんのように家族や友人に言えなければ、表沙汰にはならない。表に出ないだけで、同様の被害は少なからずあるのではないだろうか。「ネット社会の気軽さ」に依存しすぎずに節度を保って付き合うことが、これからのデジタル社会では必須なのかもしれない。