若い世代を中心に、GPSを使って仲間同士で位置情報を共有し合う“常時接続SNS”が普及している。オンライン上でのつながりだけでなく、オフラインの居場所を共有し合うものだが、仲間同士が相互監視のような環境に身を置くことのリスクも指摘されている。
“常時接続SNS”として代表的なのは、2010年代後半から支持を集めているGPSアプリ「Zenly」だろう。フランスのゼンリー社が開発したこのアプリは、位置情報を利用したSNSで、登録した友人同士でメッセージのやり取りができるほか、友人の移動記録、所在地、移動速度などがリアルタイムでマップ上に表示される機能もある。
「Zenly」は2018年に「JC・JK流行語大賞」のアプリ部門で3位に選出され、2020年にはAndroid版で1000万ダウンロードを記録している。特に友人や恋人同士で利用されることが多いという。このほか近年は、同様のGPSアプリが続々とリリースされている。
GPS機能を利用するアプリは、子どもなど「家族の見守り用」としてリリースされているものも多い。子どもがいる家庭で共有すれば、子どもの居場所や安全をチェックすることもできる。その一方で友人同士で“つながり”を求めて利用するユーザーは少なくない。
3月17日にはNHKの報道番組『クローズアップ現代+』が、「若者に大流行!“常時接続SNS”デジタル社会の近未来は?」と題して、“常時接続SNS”の実態を報じている。同番組内では、男子学生がアプリ上のマップを確認しながら、「友達はいまここに集まっている」「この移動速度からみて、自転車や車で移動しているはずですね」「セブン-イレブンの前でたむろしている」、などと説明するシーンがあった。
友人たちの居場所が一望できるため、遊びに誘う場合などは便利だろうが、一方で相互監視の状況に苦しんでいる人たちもいるようだ。なかには恋人の目を盗み、スマホにアプリをインストールして位置情報を監視する事例や、浮気防止のために、恋人にアプリを強制的にインストールさせ、相手を常時監視する事例もあるという。