ドル円相場は3月以降、急ピッチで円安が進行している。市場関係者の間では「為替介入」の観測も浮上しているが、為替介入によりドル円上昇のスピードをどこまで抑えられるのだろうか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが為替介入の効果について考察する。
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世界的なインフレを背景に、主要国では政策金利の引き上げムードが高まっています。このインフレの流れはいつまで続くのかという雰囲気の中、20年ぶりの円安水準が続いています。
急激に円安が進行したことで、マーケットでは為替介入を意識する声も出ています。
ドル円は3月下旬に反落したものの、4月に入ると底堅く推移し、2015年の高値である1ドル=125.87円を突破し、1ドル=126円台にまで到達。高値を突破したタイミングでストップロスが発生し、1ドル=126円台前半まで上昇を見せましたが、その後、財務省官僚から少し強めの円安牽制発言が出たことによってドル円は調整する動きとなりました。しかしながら、その後も高値更新を意識する動きが続き、4月19日には一時、1ドル=128円をつけました。
輸出企業にとっては円安がプラスに働くと言われますが、いまの日本企業にとってはマイナス要素のほうが多いというアンケート結果もあります。そうした状況もあり、政府・日銀も為替レートを注視しているはずです。
過去に為替介入が実施された時の例を振り返ると、当局関係者の発言からそのトーンが読み取れるようになっています。以下では過去の主なコメントをピックアップしました。下に行くほど強めの発言になるので、参考にしてください。
「相場についてはコメントしない」
「為替は安定的に推移するのが望ましい」
「市場の動向を注視している」「注意深く見守っている」
「経済のファンダメンタルズを反映していない」「急激な変動は好ましくない」
「円相場の動きは一方的だ」
「相場の動向は明らかに行き過ぎている」
「このような動きは容認できない」
「行き過ぎた相場の動きについてはあらゆる措置を排除しない」
為替介入の方法として、日本だけで行う「単独介入」と、国同士が強調して市場に介入する「協調介入」の2通りがあります。単独介入の場合、大きな効果は期待できないと指摘する市場関係者もいますが、それでも介入直後は大きく変動するケースがあります。数円くらいは円高になる可能性もあるため、当局発言のトーンが強まってきた場合は、注意が必要です。