また、脳が働かなくなる生活習慣には、暴飲暴食、生活リズムの乱れ、運動不足、睡眠不足、愚痴をこぼしがち、無気力などがあると、加藤さんは言う。
「これらを改善し、脳を働かせるのは『早寝早起き』につきます。朝のウオーキングや、リズムよく動くなどのルーティンを持つと、脳の感度が上がって五感が研ぎ澄まされ、食事もおいしいし、景色も違って見えます。さらに、自分の脳状態のベストな時間帯がわかるようになります。自分の脳の状態の感度を高く保ちたいなら、公園や原っぱに大の字に寝転んで、5分ほど雲の動きを眺めてみるのもおすすめです」
仕事で人に会う、重要な決断をするなどの場合は、頭がスッキリ整っている午前中が情報を正しく理解でき、判断力も高い。
「夜に夫婦げんかが起こりやすいのは、脳が疲れているから。脳は、働きが落ちると感情的な部分に頼る傾向があるため、冷静な判断ができなくなるのです。また、心が不安定なときは、脳がフリーズし始めているサイン。生活リズムを整え、脳の働きを戻しましょう」
自分の思い通りの結果を意識的に作り出す「引き寄せの法則」という考え方があるが、脳科学的には難しいことではないそうだ。
「脳内の視覚系に関連する部分を刺激して、『必要なものを見つける目』を鍛え、幸運につながるものが“見える”脳の準備をするのです。方法は、『赤いもの』『三角のもの』など具体的な対象を決め、歩きながら意識的に探します。散歩や買い物の行き帰り、電車の中など、場所や時間の長さは自由。見たいという強い意志を持って、試してみてください」
重要なのは、ほしいものは何か、どんな自分になりたいかなど、引き寄せたい目標を明瞭に思い描くことだ。
【プロフィール】
加藤俊徳/脳内科医。医学博士。加藤プラチナクリニック院長。脳の学校代表。発達脳科学・MRI脳画像診断の専門家。近著に『名医が実践する 脳が変わる 超・瞑想』(サンマーク出版)。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2022年5月5日号