「生涯現役」の働き方が求められる今の時代、会社を定年退職した後も、完全リタイアしない選択肢が有力になってきた。中高年やシニア専門の転職支援を行なうシニアジョブ代表の中島康恵氏が語る。
「昨今は高齢世代の働き方も多様化しています。単に働く日数を減らすのでなく、隙間時間での副業など自分に合った働き方を探すことも重要です」
そうした時代に働き方を選ぶうえでは、「地域とのかかわりを意識することが、長い人生の幸せにつながる」と言うのは、60歳以上専門の人材派遣会社、株式会社高齢社の村関不三夫社長だ。
「歳を重ねると、まずは『健康』、その次に『世の中とつながっている』、そして『お金を自分で稼げる』という3点が幸せな人生を築くために重要になります。会社人間だと地域とのつながりが全くない人が多いですが、第二の仕事人生は地域から求められるということも大切です」(村関氏)
そうしたなか、副業紹介サービス「ご近所ワーク」に注目が集まっている。スマホで登録して、近隣で1回1時間以内程度の簡単な仕事を探すサービスだ。広報担当者が説明する。
「これまでは主婦層の利用が主でしたが、コロナ禍で副業を始めたいという方や定年を迎えた高齢世代の方の登録も増え、案件も増えました」
どういった仕事があるのか。
「例えば朝のゴミ出し。近くのマンションのゴミを回収スペースに運んでもらいます。時間厳守ですが、15分ほどの作業で1案件1100円が目安です。他に、マンションの共用部分の清掃が45分~1時間程度で1600円くらい。これらを掛け持ちして、月に7万~8万円ほど稼いでいる人もいます。マンション管理会社の社員がやる仕事を外注するというイメージで、近所の方に頼む分、移動の手間や電車賃がなくなり、企業側にもメリットがあります」(同前)