物件を探す際、大きなポイントとなるのが立地と周辺環境。「駅から近い」「買い物が便利」「緑が多い」「街並みが美しい」「治安が良い」といった条件なら誰もが歓迎だろうが、意外と見解が分かれそうなのが「川沿い」だ。不動産広告では川沿いの物件は「リバーサイド」と記されることもあり、魅力的に映るが、実際の住み心地はどうなのか。川沿いのマンションを購入した人たちに、そのメリット・デメリットを聞いた。
トシアキさん(50代/男性)は、「通勤時間、住みたい沿線、予算を掛け合わせて見つけたマンションがたまたま川沿いだっただけ」という“消極派”。しかし今では、そんな偶然に深く感謝しているという。
「引っ越した当初は川沿いということに何の思い入れもなく、年1回の花火大会が楽しみなぐらい。しかし、その後、川沿いをジョギングする習慣がつくようになりました。“どうせ当たらないから”と言われ、職場の仲間で東京マラソンに申し込んだら当たってしまい、慌てて土手で練習を開始。何とか完走出来たことで自信がつき、一気にのめり込んだのです。
最初は500mぐらいで息が上がっていましたが、徐々に距離が延び、タイムも早くなり、フルマラソン4時間切りも達成。やめられなかったタバコも止め、お腹は引っ込み、大げさでなく人生が変わりました。それもこれもジョギングにピッタリな川沿いに住んでいたからこそだと思っています」(トシアキさん)
川沿いで出来るのはジョギングだけではない。ケンタロウさん(40代/男性)は、時間さえあれば土手に行き、楽器の練習に勤しんでいる。
「中学・高校と吹奏楽部でトロンボーンを吹いていました。その後、すっかりご無沙汰していましたが、結婚して子供が生まれたタイミングで家探しをする際、ふと“楽器をやりたい”と思ったんです。部活で本当にやりたかったのはサックスでしたが、サックスは大人気で、回されたのがトロンボーン。引っ越しするにあたり、“これがサックスをやる最後のチャンスかもしれない”と思い、川沿いのマンションを選びました。サックスを買って、河川敷で練習するためです。
妻からは『楽器の練習なら公園でもよくない?』と言われましたが、相当大きな公園でもないと苦情が来そうなので断念。もっぱら河川敷の鉄橋の下で吹いています。周りではコンガを叩いている人も見かけますね。川沿いで犬の散歩も出来ますし、冬は超寒いですが、夏は涼しくて気持ち良いし、風の通りも良いし、とても気に入っています」(ケンタロウさん)