消費者庁は3月、「食品添加物表示制度」の改正を発表。誤解を招く恐れのある食品表示の10類型を列挙し、それらを規制する方針を示した。食品メーカーは商品パッケージに「無添加」の表記を使用できなくなり、今年4月以降の製造分から適用される。この改正は食の安全の面で大きなリスクをはらんでいるのではないか──。
そもそもなぜ今回、こうした制度改正が行なわれたのか。食品ジャーナリストの郡司和夫氏が指摘する。
「食品表示法は加工食品に保存料や着色料などの添加物を使った場合は商品パッケージに記載するよう義務付けていますが、『無添加表示』や『○○不使用』については規制が曖昧でした。『国が認めた添加物は安全』という前提に立つ消費者庁は、一部メーカーが『無添加』や『不使用』を全面的に打ち出すことは、“添加物を使っている食品は危ない”という誤解を招く怖れがあると判断した。そうした誤解を防ぐためのガイドライン策定です」
そもそも食品添加物とは、食べ物の形状を整えたり、味の向上や日持ちを良くするためなどに使用される物質の総称。国は現在829品目を認めているが、世界各国では添加物の危険性が続々と報告されている。これを機に添加物の正しい知識を知っておきたい。
まず、添加物の王様と称される「着色料」には健康被害の懸念があるという。
「ハムやソーセージ、紅ショウガや梅干しの発色をよくする『赤色102号』は子供の注意欠陥多動性障害(ADHD)を発症する可能性があり、英国は2009年に国内での使用を禁止しました。またゼリーや清涼飲料水に使われる『赤色2号』は発がん性やじんましんなどとのリスクがあるとして米国で使用禁止され、EUでも使用食品が制限されている。しかし日本では『赤色102号』『赤色2号』ともに規制の対象外です」(郡司氏)
赤色以外でも、たくあんや数の子など酒のツマミに利用される「黄色4号」は、じんましんや下痢、染色体異常を引き起こす危険性が報告されており、英国ではメーカーに自主規制が勧告された。だがこれも、日本では規制されていない。