環境問題へのアプローチが多様化する昨今。食料品や衣料品、家電や住宅など日常の様々な場面で「エシカル(倫理的な)」や「サステナブル(持続可能性のある)」といったフレーズが飛び交い、地球環境や人々になるべく負荷をかけない消費行動やライフスタイルが呼びかけられている。とはいえ、環境問題を意識した行動には、金銭的な負担がついてまわる側面もある。この問題を考える具体例として、大好きなファッションを通じて環境問題を考え始めたという20代女性に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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埼玉県在住のアルバイト、ユキさん(仮名、28歳)は、環境問題に目を向けるようになったことで、ファッションに対する意識が変わっていったそうだ。
「私はファストファッションが大好きで良く購入していましたが、それが環境に大きな影響を及ぼす可能性があることを知りませんでした。その流れでサステナブルファッションを知り、理解を深めるようになったんです」(ユキさん、以下同)
サステナブルファッションとは何か。そもそもファッション産業は、製造時のエネルギー使用量や製品のライフサイクルの短さから「環境負荷が大きい」と指摘され、国際的な課題のひとつとなっている。そうした業界全体の課題に対し、サステナブルファッションは〈衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮〉する取り組みだという(環境省ホームページより)。
消費者ができる取り組みとしては、持っている服を長く着ることや、服のシェアリングサービスやレンタルサービスを利用することなどが挙げられる。着古した服を修繕したり、捨てるのではなく人にあげたり古着屋に売ったりする「リユース」もその一つだ。また、供給側の取り組みについては国際認証制度が複数あり、それらのマークが付いた商品を選んで購入することも、消費者がサステナブルファッションに取り組むことにつながる。
「サステナブルファッションの製品を取り扱うサイトを覗いてみると、1着5000円はしていました。私がいつも購入する服は1着1000〜2000円程度なので、3倍近い金額です。買いたい気持ちはあるものの、アルバイトの収入が低いので、今の私には手が届きませんでした……」
とはいえ、ユキさんの毎月の被服費は3万円ほどかかっている。購入する枚数を抑えればサステナブルファッションを購入できるはずだが、服の枚数を減らせない事情があるという。
「流行に敏感な女性が多いアクセサリーショップで働いているんです。仕事中は私服なので、いつも同じ洋服を着ていくのには抵抗があります。同僚に『また同じ洋服着てる』なんて言われたら嫌ですからね。その職場に馴染むためには、むしろファストファッションの新作を何着も持っているほうがいいんです。でも、環境のことを考えると、私の行動は褒められたものではないことも分かっています……」