母は最初は褒めてくれたが…
サステナブルファッションのお墨付きが付いた製品を購入し続けるには金銭的な問題があるため、すぐには実践できないと判断したユキさんは、今すぐにできる環境問題への取り組みを始めたそうだ。
「エコバッグの持参、使い捨てスプーンやストローはできるだけ貰わないなどを意識するようになりました。移動にはできるだけ自転車を使い、車に乗る機会も減らしました。私の取り組みを知った同居の母は褒めてくれましたが、『そもそも服をたくさん買うのを控えればもっといいのにね。お給料のいい仕事、早く見つけなさい』と、言い出したんです。そこから私に対する愚痴や説教が始まりました」
体力面に不安のあるユキさんは、シフトに融通の利くアルバイトを選んで働いてきた。月10万円程度の稼ぎで、実家には毎月5000円を生活費として入れているそうだ。ユキさんとしても、もっと収入の良い仕事をしたい思いはあるものの、「そんなに簡単に待遇のいい仕事は見つかりませんよ」と消極的だった。
「私の行動では微力かもしれませんが、環境問題に取り組んでいる自分が好きでした。でも、金銭的な事情からサステナブルファッション(製品の購入)には手が出ません。母が言うように給料の良い仕事に就ければ解決する問題かもしれませんが、私には荷が重いです。良かれと思って始めた環境問題解決の取り組みが、母に説教をされるという、思わぬ形で裏目に出るとは思いませんでした……」
ユキさんのように、「購入する洋服をサステナブルファッションに切り替えていきたいけれども金銭的な事情から難しい」ケースは多いだろう。だが、自分ができることから取り組むだけでも素晴らしい事ではないだろうか。