デジタル遺品を一括処理する業者もあるが…
特に見られたくないものを処理する場合、デジタル端末を使用している際から対策が必要になる。
「閲覧を知られたくないサイトを見るときは、履歴やID、パスワードが残らない『シークレットモード』を使うことを推奨します。LINEのようにアプリそのものにロック機能がある場合、個別にロックをかけておくことも情報漏洩を防ぐことにつながります」
遺族が必要な情報を事前にまとめておくことも、秘密を守ることにつながる。
「家族が故人のスマホなどを調べるのは、サブスクの解除や友人への連絡など、死後に必要な情報を得るためであることが多い。エンディングノートなどに、契約しているサービスのURLや利用目的、IDとパスワードなど、解約してほしいものや遺産になりそうなものをまとめておくと、家族は必要以上にメールやアカウントをさかのぼるようなことはしません。“パスワードがわからないから”とメールを調べた結果、知りたくないことまで知ってしまうケースは少なくありません」
近年はこうしたデジタル遺品を死後に一括処理するサービスを行う業者も増えているが、実際に活用するのは難易度が高いという。
「専門家に死後の諸手続きを依頼する『死後事務委任契約』を生前に結んでおくことで、デジタル遺品の処理を依頼しようとする人もいますが、パソコンやスマホの『中身を見たい』『消去しないでほしい』と言われたら、断れるような法的拘束力はありません」(明石さん)