共産党大会に向けてインフラ投資拡大も
感染の中核地域であった上海市では16日、新型コロナウイルス防御コントロールに関する定例の記者会見において、「上海市16区の内、15区で感染者数はゼロとなっており、ロックダウンされている区の総人口は100万人以内に減少した」と発表している。今後は、3つの段階を踏んで政策を完了させる計画で、最終段階となる6月1日から6月中下旬には、「市内全域で正常な生産、生活秩序を全面的に回復させる」としている。
上海市政府は慎重に計画的に正常化に向けたプロセスを実行しようとしていることもあり、新型コロナウイルスの封じ込めがうまくいく可能性もあるのではないか。
北京市での感染拡大も気になるが、当局は厳しい監督管理体制を敷いている。全国レベルでも6月いっぱいで封じ込めが可能だと予測している。
秋に実施されるだろう共産党大会では習近平国家主席の3期目入りが決定されるであろうが、それを盤石にするためには、新型コロナウイルスを封じ込めた上で、経済をV字回復させる必要がある。
投資家目線からいえば、悲観一色の中国経済であるが、ここをチャンスと捉える向きもあるだろう。4-6月期に大きく落ち込むであろう経済をV字回復させるには下期、インフラ投資を拡大させ、リベンジ消費ブームを引き起こす必要がある。香港上場の中国株、日本の代表的な中国関連株などに動きが出てくるかもしれない。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。