部屋探しの際、不動産サイトを覗くと、条件面で「2階以上」というものがある。マンション・アパートの「1階」が嫌わられる理由としては、防犯面の不安が大きく、騒音や日当たりが気になる、湿気が多いといった声もある。特に女性の場合は洗濯物が干しにくいという人もいるだろう。そうしたことから「2階以上」を譲れない条件とする人は少なくないようだ。その一方で、1階は2階以上と比べると家賃が安いケースがほとんど。また、実際に1階に住んでいる人の声を聞くと、1階ならではのメリットを感じている人もいるようだ。
ゴミ出し時に1階の良さを実感。外出が億劫にならない
IT企業に勤務する20代女性・Aさんは、「ネットで調べても、人に聞いても『1階はやめておけ』という情報ばかり……。でも運がよければ、1階でも安心して住める物件に巡り合えますよ。むしろ掘り出し物が眠っている可能性があると思います」と話す。
そんなAさんも、当初は「職場に近めの駅」「駅チカ」「風呂・トイレ別」「軽量鉄骨or鉄筋鉄骨」「2階以上」「キッチンは2コンロ」「浴槽は大きめ」「スーパー至近」の8つがこだわりの条件だった。
「これらすべての条件を満たし、新築で予算内の物件を発見したのですが、不動産屋に問い合わせた段階で先約が入っていました。でも、同時に不動産屋さんから1階なら角部屋で空室があると教えてもらったんです。部屋の広さや設備は同じなのに、5階の最上階よりも家賃が7000円も安くて、興味を抱きました」(Aさん)
内見に行くと、道路に面している窓はすりガラスになっているうえ、雨戸もある。かつ外には植木と塀もあり、外から部屋の中はまったく見えない。さらに若干天井が高めに作られており、採光も問題なさそうだった。オートロックなので防犯面の不安も消え、Aさんは初めて1階の部屋に住むことになった。
「まず、引っ越しの搬入がとても楽でした。前の物件の引っ越しでは、洗濯機や冷蔵庫、ベッドなど大きい荷物の搬入時、エレベーターの幅を気にしていましたが、そういう細かい心配が不要。住み始めてみると、何より1階は移動が楽ですね。下に降りる必要がないので、外出が気楽で億劫になりません。近所のスーパーに買い物して荷物を持って帰った時や、ゴミ出しをする度に実感します」(Aさん)