引っ越しを考えて物件を探していると、時折見つかる「1階が飲食店」という物件。その居住環境は、どんなものなのだろうか。「ご飯を食べたい時にすぐ行ける」というポジティブな感想もある一方で、臭いや音に悩まされるというネガティブな声もある。物件選びで注意すべきポイントはどこにあるのか。1階に飲食店が入居する物件に住んだことがある人たちに実情を聞いた。
1階の店舗がバーからラーメン店に替わった
メーカーに勤務する30代女性・Aさんが、2階以上の物件を条件に探していた当時、駅チカで日当たり良好、角部屋という好条件の物件が見つかった。1階にはバーが入っていたが、当時は1階に居住スペースがない物件は、むしろ都合が良いと思っていたという。
「防犯面や日当たりなどを考慮して、1階に住むのは避けたいと思っていました。ただ、立地や広さなど条件が良い物件に巡り合えても、1階しか空きがないことが続いて……。そういう時に、条件面もばっちりの物件が見つかったので、即決しました。下がお店であることも、特に何も思いませんでしたね」
ところが半年後、1階に入っていた店舗がバーからラーメン店に替わったことで、状況は一変した。
「ラーメン屋さんから、常に強烈な臭いが部屋に入ってきます。四六時中脂っこくて、にんにくの香りがするのが、キツくなりました。友人には『いつでもラーメン食べられてうらやましい』と言われましたが、とんでもない。1階の店は入れ替わりが激しいところもあるので、たとえ最初が静かなお店だったとしても、その後何の店になるかはわかりません。店の種類によっては耐えられない場合もあるでしょうから、家にいる時間が長い人や、長く住むつもりの人は要注意だと思います」(Aさん)
ゴキブリに悩まされる説の真偽
「飲食店の上階に住むとゴキブリに悩まされる」という話もあるが、本当か。人材紹介会社に勤務する20代女性・Bさんは過去に2度、1階が飲食店の物件に住んだことがあるが、「すべての物件でゴキブリが出るわけではない」と力説する。
「よくゴキブリが出るから嫌みたいな声を聞きます。私は1階に牛丼チェーン店が入居するマンションの2階と、宅配ピザ屋があるマンションの3階に住んだ経験がありますが、飲食店が入っていない今のマンションの方が、ゴキブリに何度も遭遇しています(笑)。飲食店があろうがなかろうが、出る物件は出るだけな気もします」(Bさん)
1階に飲食店がある物件は、マイナス面が目立ちがちだが、実際に住んだからこそわかるメリットもあった。
「お店の従業員さんが、いつもマンション前や通路をきれいに清掃してくれていました。入居者に挨拶してくれることもあって、一人暮らしには心強かった。それにシーンと静かな環境よりも、多少なりとも人の声がする方が落ち着くタイプだったので、安心感がありました。それまで牛丼チェーン店とは、あまり縁がなかったのに、頻繁に行くようになり常連になったほどです」(Bさん)