岡本さんは定額の積み立てと並行して、普段の収支は2つの口座に分けて管理することを推奨する。
「『毎月の収支用』と『いざというときの備え用』の2口、口座を作ってください。年金などの収入や、食費や光熱費などの支出は、前者の口座でしっかり管理する。それとは別に、若い頃から貯めてきた金融資産や退職金は“第二の財布”として運用する。病気の治療費や家のリフォーム代、家電の買い替え費用や趣味に使うお金などは、ここから出してください。この口座を充実させることで、気持ちに余裕が生まれます。いざというときに自由に使えるお金があるという安心感が、心の安定につながるのです」
老後に収入を増やすための“ちょい働き”
資産の運用と並行して、収入を増やす方法も模索したい。澤木さんは老後の“ちょい働き”をすすめる。
「60才から70才までアルバイトをして月8万円、年収100万円近く稼ぐことができれば、10年で約1000万円を貯めることができます。コンビニやレストラン、ファストフード店など高齢者を積極的に採用している職場は少なくない。働くことで貧困を防げるうえ、人と接するので孤独にもならない。生活のリズムもできて健康にもいい。人生の3大不安要素である貧困・孤独・病気を解消できます」(澤木さん)
実際に、仕事を持っている高齢者ほど幸福度が高いという研究データもある。
自身のスキルを生かし、仕事を通じて社会貢献することは80才を超えてからの人生に大きな影響を与える。そのことを身をもって体現するのが、87才で現役最高齢アナウンサーの押阪忍さんだ。
「家で原稿を読んでくるから、スタジオに入ったら即本番。それがぼくのプロ意識です」