直近の米株市場では、流動性が乏しくなってきており、商いが薄い。参戦している投資家の多くが短期筋と思われ、目立った材料でなくても高いボラティリティーが生まれやすい状況となっている。足元では、3月半ばに見られたような急激なリバウンドもほとんど生じる兆しがない。急落後の自律反発も空しく、小幅な反発を挟んだ後に再び急落するような展開が続いている。それでも出来高が伴っていないため、底値到達を示唆するセリング・クライマックスにも程遠い状況だ。
投資家の現金比率が高まり、センチメントも悲観に傾いた状態が続いているため、きっかけ次第で強いリバウンドに転じる可能性もあるが、足元では買いに転じられるような材料が見られず、反発は格好の逃げ場と捉えられてしまっている。相場の強気派と弱気派の間における一番の前提の違いはインフレに対する見方で、両者の雌雄を決するには少なくともあと2、3カ月分の物価・景気指標を確認する必要がある。このため、当面は高いボラティリティーが続こう。参戦する投資家は長期目線に徹するか、下がったら買い、上がったところでは即座に売却といった機敏な対応を求められよう。
日本時間で26日には5月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公表される。これを前に市場がより神経質になる可能性もあるが、直近のFRB高官らの発言などで、少なくとも今後2会合の利上げ幅や6月から開始される量的引き締め(QT)のペースはすでに明らかになっている。そのため、議事録公表が波乱を呼ぶ可能性は低いとみている。
一方、1-3月期に大幅な赤字を叩き出したソフトバンクグループ<9984>は本決算発表後にあく抜け感から急伸していたが、先週も相場が乱高下するなか、堅調な値動きを見せていたことは目を引く。相場の弱さを象徴するような存在だった同社株の底打ち感を意識させるような動きをみると、全体の下値余地も大きくないと思われる。今はまだ慌てて買いに転じる場面ではないが、焦って投げ売るような状況でもないと捉えておいた方がよさそうだ。
今週は23日に4月首都圏マンション発売、独5月Ifo景況感指数、24日に米4月新築住宅販売、ベスト・バイ決算、25日にFOMC議事録(5月3-4日開催分)、米4月耐久財受注、エヌビディア決算、26日に米1-3月期GDP改定値、米4月NAR仮契約住宅販売指数、ダラー・ゼネラル決算、27日に5月都区部消費者物価指数、米4月個人所得・個人消費支出が発表予定。