投資情報会社・フィスコが、株式市場の5月16日~5月20日の動きを振り返りつつ、5月23日~5月27日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で311.38円高(+1.18%)と反発。終値では僅かに13週移動平均線を下回って終えた。
週初16日の日経平均は119.40円高と続伸。大幅続伸したナスダック総合指数を受けて大幅高で始まるも、前の週末の急伸の反動もあり、失速。中国4月の小売売上高や鉱工業生産が揃って大幅に市場予想を下回ったことも投資家心理を悪化させた。17日は連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演などを前に模様眺めの雰囲気が強かったが、112.70円高と3日続伸。18日は251.45円高と4日続伸。中国上海の都市封鎖(ロックダウン)解除への期待に加え、米4月小売売上高など堅調な経済指標を背景に景気後退懸念が緩和。パウエルFRB議長の講演も想定内の内容にとどまり、米ハイテク株高を追い風に一時27000円も回復。節目を回復した目先の達成感や戻り待ちの売りで失速し、27000円の定着には至らず。
19日は508.36円安と5日ぶりに大幅反落。前日の米株市場での小売大手の決算において、コストの増加が想定以上に企業業績を圧迫させていることが浮き彫りになり、インフレを背景とした景気後退懸念が再燃するなか、NYダウは1164.52ドル安と急落、今年最大の下げ幅を記録した。こうした流れを嫌気し、日経平均も一時26150.09円(761.11円安)まで下落したが、日銀による上場投資信託(ETF)買いへの思惑などが下支えした。20日は336.19円高と大幅反発。前日の急落の反動が意識されるなか、米ハイテク株が下げ止まった安心感や堅調なアジア市況を支援要因に終日堅調に推移。中国人民銀行(中央銀行)が貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想よりも引き下げたことで、中国景気の後退懸念が緩和したことも好感された。
今週の日経平均はもみ合いか。高いボラティリティー(変動率)が続いている米株市場の動きに合わせて神経質な動きが続きそうだ。
ロックダウンの影響が続く中国だけでなく、堅調とされてきた米国でも景気後退懸念が強まっている。5月のミシガン大学消費者マインド指数が2011年8月以来の低水準を記録したほか、5月NY連銀景気指数は予想外のマイナス転換で大幅に悪化。5月フィラデルフィア連銀景気指数も前月分や予想値を大幅に下回った。住宅ローン金利や住宅価格が高騰するなか、住宅関係の指標も軒並み予想を下振れ、小売大手の決算もネガティブサプライズとなった。
こうした中、今週も米国では4月新築住宅販売や4月耐久財受注などの注目度の高い指標のほか、小売でベスト・バイやダラー・ゼネラル、ハイテクでは半導体大手のエヌビディアなど、市場への影響力が大きい企業決算が予定されている。