欧米ではメジャーな風力発電
日本で電気を供給するエネルギーの割合を見ると、太陽光が約9%、水力7.8%、バイオマスが3.4%と続き、風力は1%にも満たない。高さ60メートル以上ある巨大な風車は、設置に労力がかかる。だが、常時一定の風量に恵まれる欧米では、太陽光より風力発電がメジャーだ。
回転する羽根の音を気にする近隣住民からの苦情といったデメリットを差し引いても、夜には発電がストップする太陽光と異なり、風が吹いてさえいれば24時間発電できるのが風力の強みである。一方で、日本には台風も多く、そうしたリスク下で結果を出せるかが課題だ。
設置が加速する陸上風力発電のほか、今後は洋上風力発電が建設ラッシュを迎える。礎を築いたのは、躯体の耐久性、海洋生物や海鳥への影響を調査してきた研究用風車。そのうち、千葉県銚子市の「銚子沖洋上風力発電所」に残された1基が2019年から商用利用に転じ、現在も順調に稼働中だ。
■三重県津市「青山高原ウインドファーム」
標高600~800m、南北15kmにも及ぶ大草原に広がり、日本最大の風力発電「ウィンドファームつがる」(青森県つがる市)に次ぐ規模。2003年に完成した青山高原電力風力発電所、2017年に風車設置を完了した新青山高原風力発電所の両者をあわせて、95MWの出力を誇る。
■千葉県銚子市「銚子沖洋上風力発電所」
東京電力リニューブルパワーが管理する銚子沖の風車は、陸からも肉眼で捉えられる。界面から最高部の羽根先まで126m、高さは30階建てビルとほぼ同じで、最大出力は2400kWだ。
取材・文/山本真紀
※週刊ポスト2022年6月3日号