またSVFは韓国企業にも多額の投資をしている。経済ジャーナリストの後藤逸郎氏が語る。
「今回の決算で1兆6000億円と最大の下落幅となったクーパンは“韓国のアマゾン”と言われるネット通販会社です。昨年1870億円を投資したヤノルジャは、国内最大の旅行・宿泊アプリを運営する企業ですが、客室予約管理システム分野の成長を活かしてIT企業としてさらなる成長が見込まれています」
日本企業への投資は少ないが、ヤノルジャと同様に日本国内で宿泊予約サイトを運営するタビストにも出資しており、レジャー産業のAI化を進める企業には積極的に投資する傾向が見て取れる。
ソフトバンクGの業績が再び上昇曲線を描くには、こうした企業の成長に加えて投資環境の好転などの要素が必要になる。
「しばらくは新規開拓には慎重になるでしょうから、現状を打破する方法は、SVFが巨額の資金を突っ込んだ投資先のどこかが昔のアリババのように“大化け”すること以外ない。これまで日本で世界規模の資本家になれた経営者は1人もいません。日本の将来のためにも孫さんには頑張ってほしいですが、現状はあまりにも悲観材料が目立ちますね」(経済ジャーナリストの大西康之氏)
日本企業にありがちな安定や堅実性を重視する旧来型の経営者とは、一線を画す孫氏。“冒険投資家”の命運やいかに。
※週刊ポスト2022年6月3日号