テレビ番組を録画して個人で楽しむ分には問題ないというが、録画した番組を飲食店などで利用するのはどうなのか──。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
飲食店でバイト中です。先日、テレビの情報番組が店の飲食レポートを撮影、放送してくれました。問題は店が、その放送部分の録画映像を店頭のテレビで流し、「宣伝しろ」と指示するのです。でも、番組には著作権があると思うのですが、店側は聞く耳をもちません。やはり、不法行為になりますよね。
【回答】
情報番組は企画・取材を経て、台本が作られ、タレントや俳優の食事の様子をカメラマンが撮影して録画、ナレーターの音声解説や字幕を加えて完成します。映像での表現なので、『著作権法』上の映画の著作物です。
多くの人が創作に関与しますが、その中で企画から完成に至るまでの全製作過程に関与し、その監督を務め、撮影機材等の手配をし、作品の内容を決定して撮影、編集作業の指示を自ら行なうなど、著作物の全体的形成に創作的に寄与した者が著作者になります。映画でいえば監督です。
しかし、テレビ局の従業員が職務としてこうした行為をすれば職務著作者になり、テレビ局が著作権者です。仮に、外部の監督などが著作者になる場合でも、情報番組を発意し、完成の責任をもったのがテレビ局だと、制作を委託したテレビ局が著作権者になります。