著作権者は、著作物について様々な利用行為をする権利を専有し、その許諾がなくては、第三者は著作物を使用できません。
ご質問で問題になるのは、複製権と上映権です。複製権は、著作物を「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製」することですから、放映されたテレビ番組を録画すれば複製になり、著作権者が専有する複製権の侵害になります。もっとも、もっぱら個人的に、または家庭内その他で、これに準ずる限られた範囲内での私的利用目的であれば許されますが、お店の宣伝目的では複製権侵害を否定できません。
また、上映とは著作物を映写幕、その他の物に映写することをいい、店頭のテレビの受像機やモニターに流すと、上映権の侵害になります。こうした著作権を侵害する行為は犯罪であり、10年以下の懲役、もしくは1千万円以下の罰金で処分される重罪です。店に注意をして、すぐに止めさせるべきです。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年6月3日号