ファンダメンタルズ面から説明すれば、NYダウが下落する主な要因はインフレであり、それへの対策としての金融引き締めであり、さらにその副作用である景気減速懸念である。ロシアへの制裁は国際市場に混乱を引き起こし、モノの流れを遮ったり、非効率にしたりすることで、貿易財の価格を押し上げてしまう。もう少し広くとらえればグローバリゼーションの後退がインフレを誘引し、世界に景気後退を引き起こすということだ。
欧米のロシアへの制裁が続く限り、その副作用が自らの身に降りかかる。停戦が実現し、制裁が弱まらない限り、米国株への下押し圧力はかかり続ける。NYダウは足元でリバウンドしそうだが、過度の楽観は禁物だろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。