中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

日本の学校教育が「他人の目」ばかりを気にする日本人を量産している

紫のガウンを着てアメリカの高校卒業式に参加した時の筆者

紫のガウンを着てアメリカの高校卒業式に参加した時の筆者

アメリカでは「基本的に自由だが本当に悪いことをしたら処罰」

 私はその後、中学後半から高校時代をアメリカで過ごすことになるのですが、アメリカで出会った学生たちは、誰も“人がやっているから自分もやる”という考えは持っていなかった印象で、個人的には大変過ごしやすい価値観でした。

 こうした考え方の違いは、やはり日米の学校教育の違いから生じている面が多そうです。どちらにもいい面、悪い面があると思いますが、私が通ったアメリカの中学・高校と一般的な日本の学校生活の違いについて実例を並べてみましょう(アメリカの例はあくまで30数年前、私の体験ベースです)。

●主な学校行事
【日】入学式・始業式・終業式・定期試験・夏休みの宿題・遠足・修学旅行・社会科見学・体育祭・文化祭・合唱祭・授業参観・卒業式
【米】ホームカミングパーティー(ダンスパーティー、任意参加)・プロム(ダンスパーティー、任意参加)・試験(不定期)・体育(スポーツは選択制)・遠足・卒業式

●部活
【日】ほぼ全員参加
【米】自由参加。スポーツの場合、秋・冬・春で異なる部活に参加し、自分の得意分野を把握する

●規則
【日】基本的に制服。その他「茶髪禁止」「買い食い禁止」等多数
【米】服装は基本自由(ただし、タバコないしは酒類のブランドのロゴが入っていたら裏返させられる)。学校では「銃器・刃物を持ってくるの禁止」「授業中の退出禁止」「ドラッグ持ち込み禁止」

●連帯責任
【日】あり
【米】個人の問題であり、他の生徒はお咎めなし

 アメリカの学校では、突然廊下で殴り合いが発生するなど無茶苦茶な面もありましたが、その時は、屈強なガードマンが事情聴取用の部屋に連れて行き、停学や退学処分にします。とにかく「基本的には自由だが、『本当に悪いこと』をした場合は徹底的に処罰します」という方針なのです。対して、日本は、「実害の有無にかかわらず、ルールはルール。よってルールを破った人が1人でもいた場合、全員に注意を与えることがあります」という感じ。

 日本で制服を導入する学校が多い背景は、一説によれば“私服にすると、貧富の差がバレバレになる”とか、“とりわけ女子は、オシャレな子がいると嫉妬や競争意識が生まれてしまい、面倒なことになる”といった理由もあると言われます。たしかに無駄な嫉妬が生まれないという“メリット”はあるかもしれませんが、結局、それも“人は人、自分は自分”と思えないことに起因する厄介さなわけで、ルールが多く、制服生活に慣らされた結果、“人と違うことが許せない大人が出来上がる”と考えることもできますよね。

 私は日米の教育を両方経験したことで、「自分はこう思う」と、しっかりした自分なりの意見をもつ考え方を自然と習得できたのかな、と捉えています。

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