世間を騒がせた山口県阿武町の臨時給付金4630万円の誤送金問題。このような高額な金額の誤送金はめったにあることではないが、郵便物の“誤送付”なら体験したことがある人も少なくないはず。女性セブンの名物記者・オバ記者こと野原広子さんが、かつて督促状を誤送付されたエピソードを踏まえて、トラブル時の役所対応の重大さについて考察する。
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ここのところ、「山口県」と聞けば「4630」という数字が反射的に浮かぶ。友達と久しぶりにランチをすれば、「あんなことってあるのねぇ」とひとしきり話題になる。ほかでもない、山口県阿武町が起こした4630万円の誤送金問題よ。
最初は田舎のお役所仕事のゆるさをなじる声が大半だったけれど、24才の若者の顔が公表されてからは、彼の子供の頃のことから根掘り葉掘り。テレビやネットで「ロクなやつじゃなかった」エピソードが一気に流れるようになって、私はこのリアル連続ドラマに興味を失ったの。
人は見た目が9割とかいくら言っても、彼の身になれば4630万円は降って湧いた話。子供の頃から金に執着が強かったなんて公共の電波で言われなくちゃならないか?
というのも、実は私も似たようなことがあったんだよね。ずいぶん前だけど、区役所から届いた封書を開けたら、区民税未納の督促状だったの。正直、身に覚えは、ある。当時の私は数年単位で税金が払えていなかったんだよね。だけど、封筒の表書きは私の住所なのに、中身は何度見ても他人のもの。誤送金ならぬ、督促状の誤送付よ。
でも、こんなことがあっていいのかしら。てことは、私の督促状が誰かの封筒に入って送られているということだもの。
で、慌てて役所の代表電話に電話をして事情を話したら、若い男性担当者くん、「あ、間違いですね。送り返してくださ~い」とさわやかな声が返ってきたんだわ。