近隣トラブルでは様々なケースが想定される。たとえば向かいの家の防犯カメラが自分の家に向けられているのが、監視されているようで気になる──。そんな場合、どう対処すればいいのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
向かいのお宅が防犯カメラを取り付けたのですが、どう見てもカメラが私の家に向けてあるのが気になります。それとなく聞いてみると、「防犯のためなのでやましいことはない」と言われましたが、家の中を覗かれているようで、いつもレースのカーテンを閉めて生活しています。防犯カメラの位置を変えたり、取り外してもらうようにするにはどうしたらよいのでしょうか。(42才・主婦)
【回答】
防犯カメラに監視されるのは精神的に気になるだけでなく、法的にも検討すべき問題があります。
人はみだりに姿態や容貌を撮影されたり、その写真を公開されない人格的権利として肖像権を有しています。カメラで他人を撮影することは、この肖像権の侵害になる場合があります。
また、私的な生活空間はプライバシーで保護され、不安や不快を感じる私生活への介入はその侵害になるだけでなく、覗き見同様の撮影であれば軽犯罪法に触れる可能性もあります。
防犯カメラの設置位置や向きから、あなたの家の開口部が撮影され、あなたや家族の出入りや窓からわかる日常生活が撮影、記録されていれば、あなたの一家の肖像権やプライバシー侵害の有無が問題になります。