自分しか食べないという気楽さ
都内の映像制作会社に勤務する40代の男性・植村さん(仮名)もまた、最近手作り弁当を持参して出社するようになったという。
「コロナ前から多少は自炊をしていたんですが、コロナ禍でより一層自炊をするようになりました。最近はお弁当の気楽さから抜け出せなくなりました」(植村さん)
ランチで外食する際は、毎日どの店に行くか同僚と熟考してから決めていたという植村さん。それが楽しみであった一方、負担でもあった。
「同僚3人と持ち回りで店を選び、ちょっとした食べ歩きをしていました。なんなら、新しい飲食店を開拓するなど、『今日はどこで何を食べようかな』というのが、楽しみでもありました。
でも、やっぱりそれが毎日続くと、ちょっとしたプレッシャーになる。そんななかコロナ禍になって、会社の周りの飲食店が休業になってお弁当生活に切り替えたら、気楽になったんです。どうせ自分しか食べないので、メニューを熟考する必要なんてないし、おかずは残り物でOK。ブロッコリーだけということもありました(笑)。食費も浮くし、プレッシャーもなくなって、いいことずくめです。もちろん、外食には外食の良さがあることは重々わかっています。でも、コロナ禍の生活が、外食は毎日じゃなくていいかなと気づかせてくれました」(植村さん)
八木さんも植村さんも、コロナ禍で自炊するようになり、そこから手作り弁当生活にシフト。その結果、ランチ外食のちょっとした負担から解放されるとともに、節約も実践できるようになった。値上げが続き、消費者にとっては厳しいこの時代、職場に手作り弁当を持参する人は、さらに増えてくるかもしれない。