「未支給年金」は忘れたら5年でもらえなくなる
年金を受け取っていた人が亡くなったら、受給権者死亡届と併せて未支給年金請求書を提出する必要があり、万が一これを忘れると、未支給年金は受け取れなくなる。年金は2か月ごとにまとめて支給され、1日でも月をまたいでいれば、1か月分がまるごと支給される仕組みだ。そのため、亡くなった人には必ず「未払いの年金」が発生する。例えば、4月分と5月分は6月15日に振り込まれる。この日を待たずに5月30日に亡くなると、6月15日に振り込まれる2か月分が未支給となる。また、6月1日に亡くなったとすると、4、5、6月の3か月分が未支給になる。
「未支給年金は、配偶者や子供、父母など生計同一関係にある親族が申請しないと、受け取ることができません。時効は5年なので、くれぐれも忘れないように。死亡届の提出などと同時に申請を」(北村さん・以下同)
遺族年金の受給権を失うケースはほかにもある。年金保険料の納付が足りないと、受け取れなくなったり、受け取る額が少なくなったりする。
「亡くなった人が厚生年金に加入していても、納付期間が25年に満たない場合は遺族厚生年金が減額されることもあります。国民年金も同様に、亡くなった人の国民年金保険料の納付済期間が3年以上でなければ、妻への死亡一時金が出ないこともあるため、あらかじめ調べておきましょう」
遺族基礎年金は子供にも受給権がある。別れた夫の遺族年金を妻が受け取ることはできないが、子供は離婚した父親の遺族年金を受け取れる場合がある。
また、姻族関係終了届を提出して亡くなった夫と“死後離婚”したとしても、遺族年金の受給権に影響はない。
「年金請求書を年金事務所に請求すると、必要書類が一式送られてくるため、遺族年金の請求手続きは簡単です。申請から振り込まれるまでは3~4か月ほどかかるので、早めの準備を」
把握しておけば、もしものときの心構えになるはずだ。
※女性セブン2022年6月23日号