また、16日には英国でも金融政策委員会が開催される。同国でも高いインフレ率が続いており、大幅な利上げなどタカ派寄りの結果となれば、世界的な金融引き締め加速の懸念がさらに強まり、相場が調整色を強める可能性がある。
16日は日本でも日銀による金融政策決定会合が開催される。黒田日銀総裁は現状の緩和政策を粘り強く続けていくことを繰り返し主張しているため、当該イベントについてはサプライズに乏しい結果が想定される。ただ、足元では急速に円安が進行し、国内でのインフレ圧力に消費者からの不満の声も出始めている。先週は、黒田総裁の「家計の値上げ許容度が高まっている」との発言が物議を醸し、発言撤回にまで追い込まれる事態があった。こうしたなか、記者会見で総裁がどのような発言をするかが注目される。可能性は低いが、仮に今までとは異なり、円安をけん制するような発言が出た場合には、円高への揺り戻しも考えられ、その場合には、輸出企業の多い日本株全体の重石となることが警戒される。
そのほか、今週は中国で小売売上高や鉱工業生産が、米国では小売売上高のほか、ニューヨーク連銀製造業景気指数、フィラデルフィア連銀製造業景気指数など、注目度の高い指標の発表が多い。景気の底入れ期待が高まっていた中国では上海市の一部区域で都市封鎖が再開されるなど、再び景気減速に繋がりかねない状況に陥っている。また、米国でも景気後退入り懸念は根強く、前回のニューヨーク及びフィラデルフィアの製造業景気指数は大幅な悪化となっていた。こうした中、再び弱い指標結果となれば、景気敏感株を中心に売りが強まる可能性があろう。
個別では、金融政策イベントが続くなか、ハイテク・グロース(成長)株は手掛けにくいだろう。景気後退懸念が再燃しているなか、景気敏感株も同様だ。こうしたなか、先週末には、政府が入国者数上限を現行の2万人からさらに引き上げる方向で検討すると伝わっている。神経質ながらも、消去法的にリオープン(経済再開)関連銘柄が相対的に好まれそうだ。
今週は13日に4-6月期法人企業景気予測調査、14日にFOMC(~15日)、米5月生産者物価指数、15日に4月機械受注、中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、パウエルFRB議長会見、米5月小売売上高、米6月ニューヨーク連銀景気指数、16日に日銀金融政策決定会合(~17日)、5月貿易収支、英国金融政策委員会、米5月住宅着工件数、米6月フィラデルフィア連銀景気指数、17日に黒田日銀総裁会見、米5月鉱工業生産などが発表予定。