夫婦の家計管理をうまくやるには、“財布”(銀行口座)をうまく分けることが重要だ。まずは“夫の財布”“妻の財布”で、お互いに自分で稼いだお金や自分の貯蓄は自由に使えるようにする。そのうえで、夫婦それぞれの財布とは別に「第3の財布」をつくるのが理想的なのだ。
住居費や食費、光熱費など、夫婦ふたりで使うお金を出し合って、「第3の財布」に入れておくことで「個人のお金」は守られ「家のお金」は収支の流れを把握しやすくなる。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんは、こう説明する。
「“第3の財布”をつくることで、夫婦それぞれがいくらずつお金を出せばいいのかも明確になります。さまざまな支払いに使う財布を1つにまとめられるので、家計全体の収支も明確になり、管理がしやすくなります」
贈与や相続とみなされないために
夫婦の財布を分けておくと、家計管理がしやすくお金を貯めやすくなるだけでなく、将来のリスク分散にもなる。
というのも“実質、1つの財布”だけで管理していた場合、口座名義人の夫が亡くなると、相続の手続きが終わるまで、その口座は凍結されてしまう。一時的にではあるが、生活費を引き出すことすらできなくなってしまうのだ。
相続実務士で夢相続代表の曽根恵子さんが言う。
「亡くなったことを銀行に知られない限りは、凍結されることはありませんが、それを知らずに、相続手続きが終わっていないのに、銀行で“夫が亡くなったので、名義やお金はどうすればいいですか?”と尋ねてしまい、凍結される事例は多い。
また、中高年以上では“毎月、夫から手渡される生活費だけで暮らしていて、夫の口座がどこにどれくらいあるのかすらわからない”という家庭も少なくありません」