商売をする上で大切なことの1つが、お客様の声を聞くこと。不満を吸い上げ、改善に繋げることは商売を長く続ける秘訣だが、実際に「役に立つ」意見はほんの一部だ。無理難題だらけの「お客様の声」に疲弊する人たちの嘆きを集めた。
東日本の有名リゾート地のホテルで働くMさん(30代/男性)は、利用者アンケートを業務改善に繋げる部署にいるが、ストレスは並大抵ではないという。
「上司からは、きちんと改善点を見つけるように言われていますが、読むとイライラする内容は少なくありません。ウチのホテルは天然温泉で硫黄臭がしますが、『温泉が臭かった。臭いを消してほしい』とか、梅雨の土砂降りの日にやって来て『部屋がジメジメしていた』とか、『追加で釜飯を頼んだら出てくるまで30分もかかった』とか、“当たり前だろ!”と言いたくなるような意見を目にするのはしょっちゅう。
『食事が終わって部屋に帰ったら布団が敷いてありました。セキュリティはどうなっているのでしょうか』とか、『朝と夜で男女の風呂が入れ変わってしまい、夕焼けが見えませんでした』とか、自分が喫煙の部屋を予約しているのに『タバコ臭かったです』とか、深いため息が出るようなものも多いです」(Mさん)
都内で飲食店を経営するSさん(40代/男性)は、口コミサイトの書き込みをチェックするのが日課だが、時には不条理な書き込みを読んで、やり場のない怒りを抱えることもあるという。
「『焼き鳥なら分かるが“やきとん”って何?初めて聞いた』とか、上層階に消費者金融があるだけで、『怪しげなビルです』とか、ネットなら何でも言っていいと思っている人は多いです。ついこの間、本当に腹が立ったのは、『店を出たら、目の前の道をゴキブリが歩いていました。何なんですか?』という書き込みでした。“そんなこと知るか!”と言いたくもなります」(Sさん)