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理不尽、筋違い、無理難題… 現場で働く人たちが呆れる「お客様の声」のリアル

「お客様の声」は当てにならない?

 企業側にしてみれば、筋が通った意見であれば、真摯に耳を傾けるはずだ。そうやってサービスが向上すればユーザーの利益にもなる。だが、全部の声にマジメに向き合うと、そのダメージは計り知れない。前出のホテルマン・Mさんはいう。

「従業員は胸に名札を付けているので、名指しでお褒めの言葉を頂戴することもあり、仕事冥利に尽きますが、逆に名指しでクレームが入ることもあります。以前なら、『こういうクレームがあったら気を付けてね』と本人に直接言いましたが、最近の新人はショックを受けて一発で辞めてしまうこともあるので、伝え方には十分に注意が必要です。お客様の声は従業員全体で共有するのが基本ですが、あまりに酷い内容の場合はリストから弾いています。

 長い間、お客様の声を拾う仕事をしてたどり着いた結論ですが、人は『何かご不満は?』と尋ねられたら、わざわざ不満なポイントを探します。だから、全部が全部を必要以上にマジメに受け取ることはない。一部の理不尽な声には、“こんなことを思う人もいるんだ”ぐらいのスタンスで接するのが良いんだと思います」(Mさん)

 飲食店経営のSさんも、これに近い意見だ。

「以前、『とても美味しかったですが、店員が外国人なのはどうか』という書き込みを見た時は、心の底から悲しくなりました。もしこれをスタッフが見たらと思うと……。口コミサイトはデタラメな書き込みもあるので、ある程度距離を置いて付き合う必要があると思います」(Sさん)

 最後にこんな話も。都内の中小企業で働くNさん(40代/男性)はいう。

「ウチの会社では定期的に顧客の満足度を問うアンケートを行っています。回答は無記名ですが、特殊な方法を使えば、誰が回答したかが分かるようになっています。正直、それを知った時はドン引きしましたが、オーナーは“ダイレクトに不満を汲み取れる”とやめる気はないようです」(Nさん)

“書く側”も“書かれる側”も、くれぐれもご注意を。

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