定期購入のサービスを利用してみたものの、途中で“ちょっと違う……”と感じてしまうケースは少なくないだろう。もしも、“解約できない”とされている期間中に、解約したくなったら、どうすればいいのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
病気の愛犬のためにドッグフードの定期購入を始めました。最初にサンプルを取り寄せたときは喜んで食べていたので、3か月は解約できないという記載があったのですが、定期購入の申し込みをしました。
ところが、すぐに食べなくなってしまい、初回分のドッグフードもほとんど減っていません。お店に事情を話したら、「ルールはルールなので」と解約を断られました。本当に解約することは難しいのでしょうか。(千葉県・60才・パート)
【回答】
サンプルを取り寄せたとのことですから、店頭購入ではなく、チラシやテレビ、あるいはインターネットの広告を見て、はがきや電話、ネットで注文したのだと思います。
このような取引は特定商取引法が適用される通信販売です。同法では、広告で表示すべき事項を定め、誇大広告の禁止など通信販売が消費者の権利を侵害しないようにさまざまな規制をしています。そのひとつとして業者が契約申込書面に記載、あるいはコンピューターのモニター上で購入クリックする直前の最終画面に表示すべき事項を定めています。
その中で、消費者が解約を申し出るまで定期的に商品の引き渡しがなされる期限の定めがない契約の場合には、その旨を申込書面などに明確に表示する必要があるとされています。
あなたは定期購入を申し込んだということですが、おそらくこの期限の定めのない定期購入契約になると思います。
その場合、本来はいつでも止められるのですが、業者が解約の申し出に制限をつける場合には、その申し出の期限も申込書面等に記載することになっています。「3か月は解約できない」という記載はこれに当たるのでしょう。このような制限を承知で通信販売で商品を購入した以上、3か月間の定期購入はやむを得ないことになります。