世界的な資源高にウクライナ危機、円安などが相まって、物価が高騰している。消費者には悪夢が続きそうだが、逆風に抗って歯を食いしばり、価格を据え置いている企業もある。仕入れ価格や電気代が上がるなか、なんとか値上げをせずに商品価格を維持する企業の挑戦を追った。
山梨県甲府市に本社を置く『シャトレーゼ』は、会社のホームページに堂々とこのような宣言を記載している。
〈値上げしないことへの挑戦 お客様の安心のため、価格維持に挑戦しております〉
同社は、主力商品の洋菓子に使う小麦粉や砂糖などが値上がりするなか、約400品目ある全商品の価格を来年3月まで据え置くことを打ち出した。シャトレーゼ広報室室長の中島史郎氏が語る。
「当社は創業者の齊藤寛の方針で、中間業者を介さずに自社で製造・販売することで、お求めやすい価格で良質な商品を提供してきました。給料が上がらず、家計が厳しい時に商品を値上げしたら、お客さまにささやかな幸せを感じてほしいとの企業理念が達成できません。そこで企業努力で価格を据え置くことにしました」
値上げを避けるために同社が断行したのは、徹底的なコストカットだ。
「約1800人の社員からコスト削減案を募り、アイスの包装紙に使うインク量を減らしたり、製造ラインの組み合わせ方を見直したりするなど数々のプランを実行しました。多少の初期費用がかかっても、長期的に大きなコスト削減に繋がることを優先しました」(中島氏)