症状があっても「久しぶりの旅行だし」
こうした状況で、間もなく夏本番がやってくる。昨年と一昨年はコロナ禍でお盆休みを棒に振ったので、「今年こそは」と旅行を計画している人も多いようだ。消費行動に詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏が解説する。
「航空会社のチケットの予約数や、ツアーやホテルの予約数などがコロナ禍以前に近い水準にまで戻ってきていると報じられています。決して完全に元通りとまでは言えませんが、2年間がまんしていたこともあり、旅行需要は増えているでしょう」
実際、第6波が落ち着き始めた今年4月上旬以降、観光地のホテルなどは夏のホリデーシーズンに向けて需要を喚起していた。
観光庁も旅行代金が最大50%オフになる「県民割」に続き、40%オフになる「全国旅行支援」の実施を打ち出し、すでにこの夏の旅行を予約済みという人も多いだろう。
しかし、BA.5がせっかくの時間に水を差す可能性が高まっている。まず言えるのは、単純に感染リスクが高まっていること。
前述したように、BA.5の感染力はほかのオミクロン株より強いとされる。屋外でのマスク着用基準が見直され、ノーマスクの人が増えている状況下で、屋外であっても人が集まりやすい観光地には相応の感染リスクが潜む。
旅行の大きな楽しみの1つは、土地土地の食事。旅程中のすべての食事を、感染リスクを避けるためにホテルの部屋とするのは、文字通り味気ないだろう。
「長期の旅行中に仮に感染、発症したとなれば、当然その地域の病院にかからなくてはいけなくなります。しかし、地方の病院などでは医療体制が充分に整っていないケースも多い。観光客が大挙する沖縄や北海道などでは、医療ひっ迫が早く起こってしまい、適切な対応が遅れる可能性があります」(前出・一石氏)