その一方で、電子チケットの恩恵を存分に享受するユーザーも少なくない。さまざまなアーティストのコンサートに行くCさん(20代男性/デザイン会社勤務)はこう話す。
「以前はチケットを買ったら、コンビニで発行したり、郵送されるのを待ったりしましたが、電子チケットなら、ネットで購入し、あとは当日まで待つだけなので本当にラク。チケットを発行し忘れて、当日になって焦ることもないですし。
あと、チケットを家に忘れて会場に行ってしまうという凡ミスがなくなったのも大きい。交通系ICカードもスマホに入れているので、財布は忘れることがあっても、スマホだけは絶対に忘れないですから。電子チケット、最高です」(Cさん)
グッズ販売は多くの客をさばけるように
コンサートやスポーツイベントでのグッズ販売・売店などでは、“完全キャッシュレス化”も進んでいる。つまり、電子マネーやクレジットカードでの決済のみ対応で、現金が使えないケースが増えているのだ。
東京ドームでは、今年3月から場内の売店やチケットカウンターが完全キャッシュレス化された。また、7月29・30・31日に新潟県湯沢町苗場スキー場で開催される『FUJI ROCK FESTIVAL ’22』も、場内での飲食店や売店などすべての店舗が完全キャッシュレス化される。
「コロナ禍で接触機会を減らすという意味もあり、ここ2年ほどでコンサートなどにおける“完全キャッシュレス化”が一般的になりつつあります。また、座席を指定してグッズ購入時間を限定したり、会場限定商品をなくして、すべての商品をネット通販で購入できるようにしたりなど、現地でのグッズ販売時の混在緩和施策も増えています」(大塚氏)
グッズ販売の完全キャッシュレス化に対しても、賛否両論あるようだ。普段から現金しか使っていない前出・Bさんは、戸惑いを隠せない。
「売店でビールを買おうとして現金が使えなかったときはビックリしました。Suicaを持っていたからよかったものの、危うく赤っ恥をかくところでした」(Bさん)