疲労の蓄積により、筋肉などが炎症を起こし、そのせいでさまざまな障害を起こすのだと説明されました。引き締まった体を手に入れた代わりに健康を損ねて思うのは、やり過ぎはすべてを無駄にするということです。(50才、パート女性)
“トレーニー”に学ぶリスクとは?
「コロナ禍でブームになった、筋トレ動画。その多くは、プロのトレーナーではなく、アスリートである“トレーニー(トレーニングをする人)”が教えているんです」とは、パーソナルトレーナーの枝光聖人さんだ。トレーニーが教える。これの何がいけないのか。
「教えることの素人であるアスリートが、自ら行っている負荷の高いトレーニングを紹介しているということ。それを素人がまねるのは無謀です。さらに独学では、間違った動きをしている可能性が高い。本来の筋トレは、トレーナーが個々に適した正しいフォームをチェックしながら行います。それを間違ったフォームのまま、負荷の高いトレーニングを続けていれば、筋肉を適切に鍛えられません。痛みなどの不調が出てしまうケースもあるでしょう」(枝光さん・以下同)
また、筋肉のバランスが崩れた状態で体に負荷をかけると、関節などのけがを誘発することもあるという。
「筋肉の成長のピークは35才で、それ以降は老化に転じていきます。特に中高年女性は、女性ホルモン減少などの影響で骨がもろくなり、細胞の再生のスピードも遅くなっています。筋トレをしたらマッサージやストレッチをして、筋肉の疲労を取らなければなりません。しかし、若いトレーニーによる筋トレ動画ではそこまで紹介していないものが多い。ですから、オーバーユース症候群になりやすいのです」
筋トレをすると筋肉が緊張する。ケアをしないと毛細血管に血液が流れにくくなり全身の血の巡りが悪くなるので、不調が起こりやすいという。
「中高年女性の場合、筋トレは週に1時間で充分。それも、約45分筋トレをしたら、15分ほどストレッチなどのケアに時間を使うのが理想的です」
【プロフィール】
枝光聖人(えだみつ・まさと)さん/中高年に特化した筋トレジム「心身健康倶楽部」代表。厚生労働省認定・ヘルスケアトレーナー、日本関節アプローチ協会認定・関節ストレッチマスターほか多数の資格を取得。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2022年8月4日号