5月13日から、75歳以上のドライバーの免許更新に「運転技能検査」が加わった。過去3年間に一定の違反歴がある場合、試験コースで運転課題をこなし、100点満点中70点以上を取らなければ免許の更新は認められない(第一種免許の場合)。
75歳以上の全員に義務付けられた「認知機能検査」もあるほか、警察庁は運転免許の「返納」も促しており、運転免許更新のハードルは着実に高くなっている。
歳を重ねるごとに筋力や反射神経などの身体機能が低下するのは避けようがない。「生涯現役」のドライバーを目指すにはどんなことに気を付ければいいのか。
参考にしたいのが「補償運転」という考え方だ。「補償運転」とは、簡単に言えば、加齢による運転技能の衰えを補うために実践する安全上の工夫のこと。2017年から警察庁が推奨しており、全国で呼びかけている。
具体的には、「夜間」や「雨の日」「長距離」の運転を控えるなど、運転する時と場所を制限したり、「ラジオや音楽を聞かずに運転に集中する」「以前よりスピードを出さない」など心身の環境を整えて危険を避ける方法が挙げられている。
とはいえ、補償運転でどれだけ気を付けていても、本人はおろか家族など身近な人ですら気付かないうちに進行するのが「認知機能低下」の怖さとも言える。
そうした漠然とした不安に苛まれて「早めに返納を」と考える人もいるだろう。しかし、運転の中止が要介護リスクを高めることは、望ましい結果とは言えない。