歳を重ねるごとに筋力や反射神経などの身体機能が低下するのは避けようがない。「生涯現役」のドライバーを目指すにはどんな工夫をすればいいのか。運転を続けるうえでは、万が一の時のために加入する「自動車保険」の見直しも大事な要素となる。
法律で加入が義務付けられている自賠責保険(加入しないと罰金などの処分があり、車検も受けられない)は対人事故の補償しかない。しかも保険金額が被害者1人あたり120万円までと少額だ。
一般的に、自賠責では足りない部分の上乗せ(対人賠償責任)や、カバーされない対物事故の損害(対物賠償責任)、運転者自身や同乗者の怪我(人身傷害補償)、自身の車の補償(車両保険)のため、損害保険会社の「任意保険」に加入するケースが多い。
任意保険の保険料は契約者の年齢(年齢により事故の確率が違うため)や車種、ゴールド免許かどうか、事故歴に基づく「等級」によって決まる。
1年間無事故なら翌年の等級が1段階上がり、ずっと無事故なら“信用”が高まり、保険料が割引される仕組みだ(初年度は6等級で、最高は20等級)。
しかし、ここでは保険料の“70歳の壁”が立ちはだかる。
「任意保険の保険料は運転技術が未熟で事故の確率が高い10代や20代前半が最も高く設定されていて、30代以上は低く設定されています。それが60代から少し高くなってきて、70代以降はグッと上昇する。統計上も事故が増える70代になると、保険料が上がるのが一般的です」(ファイナンシャルプランナーの平野敦之氏)
円安や原油高でガソリン代が高い今日、現役世代に比べて所得が下がる60代以降に自動車の必要経費である保険料が増えるのは避けたいところ。安く抑えるためには、契約している保険の乗り換えや見直しを柔軟に考える必要がある。
では、70歳にさしかかった“車のプロ”たちは実際にどんな保険を選んでいるのか。