1980年代後半から1990年代初頭にかけて、日本中が沸いたバブル景気。当時、建設されたマンションや戸建住宅にも、豪華できらびやかなイメージがついてまわった。そんなバブル期に建てられた物件は今でも残っており、築年数が古くなったとはいえ、その独特な存在感は健在。ではその住み心地はどうなのか? 実際に居住経験がある人に、話を聞いた。
実家の戸建住宅「吹き抜けにシャンデリア」
IT企業に勤める40代女性・Aさんの実家は、郊外の新興住宅地。バブル期に建てられた建売住宅の実家について、「重厚感があって豪華だけど、“無駄”が多い」と評する。
「まず、吹き抜けにシャンデリア。一見豪華に見えますけど、吹き抜けがあると、空調がなかなか効かないので非効率。特に冬は、暖房をつけても暖かい空気が全部上にいってしまう(笑)。地震があると『落ちてくるんじゃないか』とすごく不安でした。私が過ごしていた子供部屋は2階にありましたが、吹き抜けのせいか1階の声がうるさかったです。
あと、作り付けの無駄な設備が多くて、和室には掘りごたつがありますが、この20年、一度も使ったことはありません。広めのLDKには、当時まだ珍しかったフローリング用の床暖房がついているのですが、場所によってオン・オフの調整ができなかったので、一度つけると必要ないところまで温まる。電気代がもったいなくて、ほとんど使っていませんでした」(Aさん)
Aさんは、収納の少なさも指摘する。
「実家を出て他の物件に住んでわかったのですが、実家は収納場所が圧倒的に少ない。住んでいた頃は、“家はそういうもの”としか思っていなかったんですけど、今思えば、バブル時代は、収納家具を自分で選んで買っていたのだと思います。両親もタンスや本棚など、作りのしっかりとした家具を買っていました。収納がない分、空間が贅沢にとられているとも言えますが……。その点、最近建てられた家は、空間を効率的に使っているし、機能的な収納も多いので、狭くても暮らしやすいです」(Aさん)