10月以降にさらなる値上げも
日本円がどんどん弱くなっているから、海外からモノを買って輸入する際の調達コストが高くなる。加藤氏は、現下の国内の物価高騰は、超円安のためにしばらく続くとことになると予測する。
「最近の物価上昇は、昨年からのエネルギー価格上昇やウクライナ要因によるものが6割、円安要因が4割です。歴史的な円安による影響はこの先より本格的に出てくる。日本では食料品の値上げは上期の4月と下期の10月に行なわれることが多い。来たる10月からは従来の要因に加えて、徐々に円安の影響も値上げという形で現われるだろう。また、パナソニックが原材料費などのコスト増を理由に白物家電の値上げを発表したように、食品以外でも耐久消費財の値上げのケースも増えてくる。
そもそも円安の要因とされるのは、日銀の黒田東彦総裁主導による金融緩和策の継続が大きい。日銀は今後も年間2%の割合で物価が上がり続けるように金利を異常に低く設定しているが、それが賃上げにつながる経路は見えてこない。黒田総裁は6月に『家計の値上げ許容度が高まっている』と発言して炎上したが、この状況で家計の値上げ許容度が高くなっていることはないだろう。過度な円安により我々の収入で買えるものが減っていくこの状況に、国民はもっと怒っていい」
かつて、円安を阻止するために為替介入を実施した大蔵省の財務官が「ミスター円」と呼ばれたことがあったが、むしろ円安を促進させる金融政策を続ける黒田氏は、元財務官ながら「ミスター円安」といったところか。超円安による値上げラッシュを許容するどころか、多くの家計はすでに限界が目の前に迫っているはずだ。