日本の賃金や年収が上がらない状況が嘆かれて久しい。厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば、2021年のフルタイム労働者の平均月給は30万7400円(残業代などを除く)。2001年の平均月給は30万5800円で約20年間ほぼ横ばいだ。
月給12か月分に賞与を足した2021年の推定平均年収は489万3100円。平均年収を世界と比較すると、2000年以降にアメリカ・カナダ・ドイツ・イギリス・フランスの年収が右肩上がりに上昇するなか、日本は年収が地を這うように横ばいで推移してきたことが一目瞭然だ。
「アメリカとの差は約3万4600ドルで、概算でも400万円を優に超える大差がついたのが“失われた20年”といわれるゆえんです。今後の物価高と円安傾向が懸念されるなか、ますます日本人が貧しくなっていくのでは、と心配になります」
そう話すのはファイナンシャルプランナー(FP)で「ライフプランニング ゆめたまご」代表の中村賢司さんだ。中村さんは住友生命保険相互会社勤務を経てFP事務所を設立。日々の相談業務と並行してメディアで情報発信しながら、顧客の年収の変化を目の当たりにしてきた。
「うちのクライアントは職業が幅広い。高収入の医師やパイロットのほか、小売業やITのシステムエンジニアがコロナ禍でも仕事が好調な一方、サービス業や飲食業はしんどそうな印象です。ただECサイトで業績を伸ばす例もあればジリ貧の会社もあり、業績は年収に大きく影響します」(中村さん・以下同)