中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

非合理なルールでも「ウチは固い組織なんで…」と言い訳して改善を拒否する愚

なんでルールが変えられないのか…(イメージ)

なんでルールが変えられないのか…(イメージ)

 仕事をしていると「どう考えても非合理的なルール」に出くわすことがある。その会社の人も、それがおかしいとわかっていながらも「ウチは固い組織なんで……」と言い訳するばかりで、結局何も変わらない。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、そんな言い訳が出る具体例を紹介するとともに、何も改善できないおかしさを指摘する。

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 伝統ある大会社や公的機関の人と仕事をすると、何かできない理由として「ウチは固い組織なんで……」と言われることがあります。たとえば、「ウチは固い組織なんで、ハンコがないと進められないんです」という感じ。その場でハンコを持っていなければ、いったん戻って再訪する必要に迫られるなど、いつまで経っても事が進まないケース。だったら、先に言っておいてよ!

 ほかにも、これまで見たり聞いたりしてきた中では、「ファックスがいまだに大活躍している」「指定の金融機関からの送金しか認めない」「返事をするまでに中3日の営業日が必要」「使用の申請は1週間前までに」「たとえ外部の人間でも、当社のオフィスで働く男性は必ずネクタイをしなくてはいけない」……などというものがありました。これらは「会社・機関のルールとして決まっている」ということで、細かい背景については以下があると考えられます。

●ファックス使用:エラい人がファックスに慣れている。かつ「紙で残すことが大事」という考えがある。
●指定金融機関からの送金:関係性が深いその金融機関の取引量を増やしたいと考えている。
●返事までに3日間:上司の決裁を仰ぎ、ハンコを全員分押してもらうのにそのぐらい時間がかかる、という見込みがある。あるいはただの慣例か、面倒な返事を断るための方便。
●使用の申請は1週間前:関係各所への連絡に時間がかかるのと、急な対応に慣れていない。
●ネクタイ:おそらく社長が、サラリーマンたるものネクタイをすべきだと考えている。また、自身の組織は格式が高いと思っている。

 これに対して「メールじゃダメなんですか?」「別の金融機関からでも届く金額は同じですよ」「いや、この程度のこと1日でできませんか?」「せめて3日前でもよくないですか?」「暑いからネクタイ苦痛なんですけど」などと言う時のキラーアンサーが「たしかにおっしゃる通りなんですが、ウチは固い組織なんで……」となります。この答えとともに、首をひねって申し訳なさそうな表情をするのがセットになります。

 そんな言い訳をする担当者も、このやり方が非合理的であることは分かっていますし、恐らく同僚も皆同様に思っているでしょう。しかし、組織というものは一度決められたルールとやり方は簡単に変えることができない。それまで大トラブルがあったわけではないため、変える必要がないとも考えているのです。それこそありえない話ですが、ファックスの使用についてもNTTがファックスを使用する場合の通信料を10倍にしたり、ファックス用紙の値段が100倍になったりしたら変えるかもしれません。

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