そんな非効率で効果もよく分からないやり方が延々と続いていく。このパターン、日本政府による新型コロナウイルス対策とかぶってしまいます。
2020年4月に発令された第1回緊急事態宣言の名目は「人と人の接触を減らし、感染者を減らすとともに、時間稼ぎをしている間に医療体制を構築する」というものだったはずです。しかしその間、医療体制を大幅に整えることもなければ、感染症の分類を変更することもせず、陽性者が増えると緊急事態宣言かまん延防止等重点措置を出し、国民に自粛を促す。その繰り返し。
そして今、第7波が来ましたが、再び緊急事態宣言の発令を求める声も出てきます。本来、緊急事態宣言が出ている間は「医療体制を整える」目的だったのに、結局、第7波までえらいこっちゃえらいこっちゃ、とやり続けている。
まさに日本政府も「ウチは固い組織なんで……」と言って、たとえ非合理的であってもルールを変えられない典型なのではないでしょうか。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『よくも言ってくれたよな』(新潮新書)。