鉄道の研究開発分野と学問分野の関係
こう書くと、「科学の視点で鉄道の本質に迫るなんて大げさだ」と思われる方もいるでしょう。たしかに、このような発想をする方は、鉄道や交通の技術に直接関わっている方を除いてほとんどいないので、そう思われても仕方がないかもしれません。
ただ私は、「鉄道は科学の入口になる」と考えています。なぜならば、私自身が鉄道をきっかけとして科学や技術に興味を持ち、大学や大学院で工学を学び、かつてメーカーの技術者として働いた経験がある人間だからです。
意外かもしれませんが、鉄道はさまざまな学術分野と関係があります。下の図は、「鉄道のおもな研究開発分野」と「おもな学問分野」の関係を示しており、関係が深いものを線で結んでいます。この線の数の多さを見れば、両者に深い関係があることがご理解いただけるかと思います。
なお、鉄道技術を支える鉄道工学は「総合工学」と呼ばれており、土木工学や建築学、地質学、機械工学、電気工学など、さまざまな工学分野と密接な関係があります。また、鉄道は「人間」が使う道具であり、「人間」を運ぶ輸送機関でもあるので、「人間」を扱う心理学や人間工学、生物学、医学とも関係があります。
つまり、鉄道に興味を持つと、これだけ多くの学問分野にアプローチできる「きっぷ」を手に入れることができるのです。これって、かなりお得なことだと思いませんか?
それでは、どうすれば鉄道を通して多くの学問分野にアプローチすることができるのでしょうか。その方法の一例をご紹介しましょう。