今夏はコロナの感染状況がやや沈静化。旅に出たい気持ちにがまんを強いられた人のなかには、久々に旅に出かけようと考える人もいるのではないだろうか。特に今年は日本の鉄道が開業150周年を迎え、電車旅が注目の的。登場以来、私たちの「遠くへ行きたい」という願望を叶えつつ、日本の発展の原動力となった鉄道旅の思い出とその魅力を、懐かしのエピソードとともに振り返ってみよう。
【旅のお供】冷凍みかんやゆで卵が鉄道旅の定番アイテムに
鉄道旅の楽しみの1つに、「冷凍みかん」を思い浮かべる人もいるかもしれない。
その発祥は昭和30年、神奈川県・小田原駅の売店で地元のみかん店「井上」が鉄道弘済会や現・マルハニチロの協力を得て売り出した。アイスクリームや自動販売機がまだ一般的でない時代に、冷たいみかんは大人気となった。鉄道ジャーナリストの松本典久さんは、こう語る。
「瓶コーラが車内販売に登場したのは昭和39年で、当時60円。冷凍みかんは4個入150円でした」(松本さん)
その他、“旅にハイソフト”でおなじみの森永キャラメル「ハイソフト」や、ネット入りの味付けゆで卵も、鉄道旅のお伴としての定番アイテムだった。
別掲写真は昭和44年当時の乗客がポリ茶瓶を持つところだが、お茶の容器も陶器製の汽車土瓶からポリ茶瓶、缶、ペットボトルへと進化している。