インデックス投信のコストには、信託報酬のほかにも、少額ではありますが、目論見書に「その他の費用・手数料」と書かれる“隠れコスト”も加わってきます。それらも加味したうえで全世界株式タイプの3大・人気インデックス投信のリターンを比べてみました。
トータルリターンでもしっかりと実績を残しているのがオルカンの人気の秘密と言えそうです。
オルカンにも弱点あり?
ここまで見ると、全方位隙のないインデックス投信に見えますが、株式に投資をする以上、成績がマイナスになることもあります。たとえば、コロナショックがおきた2020年1~3月は、▲21.86%と大きく下落していますし、2022年4~6月は▲6.03%となっていますので、この時期に購入した人は、「思っていたパフォーマンスと違う!」と困惑したかもしれません。それでも15年以上の長期保有を前提にすれば、たとえ一時的にマイナスになったとしても、最終的にプラスで終わるケースがほとんど(過去のデータより)。短期的なマイナスに右往左往せず、どっしり構えておきましょう。
もうひとつの弱点は、投資対象に成長性の低い国も含まれることです。オルカンの組み入れ比率がもっとも高いのは、61.4%を占めるアメリカですが、極論をいえば、アメリカのみに投資をしていれば、もっとリターンは高くなります。成長性が低い国にも投資をしているため、足をひっぱられ、トータルリターンが低下していることは否めません。
ただし、これも裏を返せば、アメリカが不調のときに、他国の成長が助けてくれるというメリットにもなります。
7月に発表されたIMF(世界通貨基金)のGDP成長率予測では、アメリカを含む先進国は2022年2.5%に対して、2023年は1.4%と減速予想です。その一方で、新興国は2022年3.6%に対して、2023年は3.9%と成長率が加速する見通しです。もちろん、その通りになるかどうかは分かりませんが、そうなった場合は、新興国も含まれている投資信託のほうが有利となりますよね。
どうなるか分からないことをいろいろ分析して予想する手間を省くという意味でも、全世界を丸ごと買えるオルカンは楽チンといえます。